【なにわ人生道】38年前のグローバル
かれこれ38年前の春。自分は人生最大の決断をした。中学卒業後の進路である。私立の一貫校だったので、通常は、三田(共学)から日吉の高校(男子校)に行くことになる。このタイミングで自分は、オーストラリアに海外武者修行に出ることを決意した。中学時代、自分の両親が、転勤で赴任していたので、1年間、留年覚悟で海外経験をすることにした。決断までには心の葛藤があった。仲が良かった中学の友達と別れ、戻ってきた時には1年遅れになってしまう。”せっかく出来た友達を失うかもしれない。”というのが、最大の懸念だった。学費もまるまる1年分、ドブに捨てることになるので、親にも申し訳ない気持ちであった。
だがプロレス界では、ヤングライオン(有望な若手)は、「海外武者修行に送り込まれ、心身ともに鍛えられる」という話を聞いていた。行きの飛行機代だけ渡され、強くなって、会社に呼び戻されるまで、日本に帰れないのである。それに比べれば、自分が行くのは、両親の家。デカい外人相手に戦うわけでもないし、当時はまだ留学している人は少なく、みんなと違った体験ができるかもしれないという優越感もあった。かなり悩んだあげく、自分自身で「行く」という決断を下した。今、思ってもこの決断には意味があったと思う。帰国後、友達が高校2年生になった時、自分は1年生からスタートだった。だがそれによって、友達は倍増した。そして、グローバルな目線を身に付けることができた。日本村の掟に従うのではなく、情報を集め、比較分析し、合理的な判断を自分で決めて、行動できるようになった。帰国後の高校1年の担任(生物のS先生)には、「おまえは、人と物差しが違う」と嫌味を言われた、だが、それを聞いて、ほくそ笑んでいる自分がいた。 (つづく)
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