【なにわ教育道】家族の空気感
2006年10月21日(土)。いよいよ面接の本番。会場の六本木に向かった。私は電車の中で「好きな食べ物は?」「好きな本は?」聞かれそうな質問をれいれいにいくつも投げかけた。彼女のアンサーは完璧だった。大江戸線の六本木駅から長いエスカレーターを乗り継ぎ、やっと地上にたどりついた。土曜の朝の六本木。普段の喧騒はなく、街は静かだった。早めに着いたので、スタバで少し時間をつぶした。そこから歩いて約5分。学校の正門をくぐり、守衛さんに挨拶をし、案内に従い面接会場をめざした。部屋の前には、すでに3~4組の親子が、緊張した表情で順番を待っていた。面接時間は約10分。「親子3人面接」である。
「失礼いたします!」
好感度を演出するため、私は大きくはきはきとした声で、ドアを開けた。ドアの向こうには、T部長、K副部長、女の先生の3名が座っていらっしゃった。先生たちは、願書の家族写真と我々を見比べた。とくにT部長は、れいれいの容姿を中心に熟視していた。面接は、女の先生のれいれいへの質問からスタートした。
Q「幼稚園での好きなお遊びは?」ブランコです。
Q「好きなお弁当のおかずは?」おにぎりです。
Q「おにぎりの中身は何が好き?」しゃけです。
れいれいは、質問の意味を理解しながら、はっきりとした口調で、全ての質問にパーフェクトに答えていた。まずは、第一関門クリアーである。次は嫁の出番である。質問者はK副部長だ。
Q「願書の健康状況に、アレルギーとありますが、どんな症状ですか?」
A「食べ物のアレルギーというわけではなく、ときどき軽い喘息のようなせきがでます。」
Q「姉妹喧嘩はしますか?」
A「普段は仲いいのですが、時々喧嘩はします。」
嫁は何のひねりもない答えを、不安気に答えていた。嫁への質問は以上であった。これは聞いた話だが、面接では「親子が同時に部屋に入ってきた時の空気感」を見るらしい。毎年、何百組の親子を面接している先生たちは、部屋に入ってきた瞬間に、家族の関係がわかってしまうそうだ。仮面夫婦や子供が、親の言動におびえていたらアウトである。うちは大丈夫だろうか?そして、いよいよ最後はT部長と私の直接対決である。
(つづく)
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