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【なにわ教育道】家族の食卓

「奥様の手料理で、お好きなものはなんですか?」
上の娘の面接の本番。面接官のシスターに聞かれ、私は言葉に詰まった。しばしの沈黙のあと、前日のランチで食べた「鮭フライです」と答えた。そして、みーちゅーの小学校お受験は終わった。「夜泣き事件」につづき、嫁の信頼を決定的に失った瞬間であった。
ここで、当時の和田野家の食卓を分析してみよう。専業主婦の嫁は、料理はお世辞にも得意ではない。だが、クックパッドを見て、毎日ちゃんと食事は作っていた。朝早く起きて、幼稚園のお弁当も頑張っていた。平日は私の帰りが遅く、せっかくの手料理もすべてが残り物のように見えた。深夜12時過ぎに帰宅。冷蔵庫の中を詮索。ラップのかかったおかずを発見。味噌汁、ご飯を温め、「オレだけの晩餐」を繰り広げる。だが電子レンジからでてきたおかず君は、魂の抜け殻のようになっていた。作り立ての匂いや湯気のない状態では致し方なかった。パジャマ姿の嫁との会話は、幼稚園や学校の出来事、こぐま会の進捗状況など、一方的な報告が中心だった。おかずに関しての質疑応答は皆無だった。嫁の得意料理のわからなかった言い訳である。
「まずい。このままだと、鮭フライの二の舞だ!」
私はいい知れぬ焦りを感じた。れいれいの面接までに、「家族の食卓」をアピールしなければならない。ちょうどそんな時、小学生になったみーちゅーが、「鍋だ!」という作文を書き上げた。彼女の一番好きな晩御飯は、「家族みんなで囲む鍋」であることが判明した。この作文は非常に衝撃的だった。
「子供目線で見た家族の暖かい食卓の風景」。
私が探し求めていた「答え」がそこにあった。「鍋」というたった1つのキーワードから、「家族だんらん」「コミュニケーション」「盛り上がる夕食」など、様々な家族のシーンを伝えることができる。夏休みが終わり、受験本番までの数ヶ月、土日の食卓のどちらかは「鍋」となった。もちろん、面接対策である。
                 (つづく)

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