【なにわ営業道】いつか来た道
私は、会社でまたまた部長に呼び出された。
「和田野、東京に戻ることになった。」
東京⇔大阪の二重生活を楽しんでいた私は、突然の辞令に戸惑った。そのときの気持ちは、「東京の家族のもとに戻れる!」という喜びよりも、「大阪に残す女性メンバーたちのプライベートは大丈夫だろうか!?」という不安の方が上回った。
「なんだかんだで、仕事はなんとかなるだろう!」それについては、あまり心配していなかった。一方、3年後の「彼女たちの幸せ(プライベート)」はかなり不安だった。自分の送別会で、「披露宴では、スピーチするから連絡くれよな!」私はそんなメッセージを、彼女たちに遺言として残し、大阪を去った。だがその後、連絡はなかった。
東京の新しい部署も、女性メンバー比率は高かった。アシスタントを含め総勢20名。男はわずか4名という人員構成だった。グループのミーティングは、まるで「女子高のホームルーム」のようだった。他のグループからは、「まるで接待をともなう夜のお店みたいですね」と冷やかされた。とはいえ業務に関しては、女性メンバー無しでは完全に廻らない状態となっていた。東京でも、彼女たちは深夜残業もいとわず、クライアントとの夜の飲みも積極的で、チームの業績はうなぎ上りとなった。だが、ここでも私の不安は現実となった。入社当初は彼氏がいたものの、「ふと気がづいたら破局」という事例が頻発しだした。式場まで決まっていながらドタキャンになってしまったケースもあった。
「本当は早く結婚して、子供生みたいんですけどね。」と言いながら、彼女たちはハードに働き続けた。いつかどこかで見た光景であった。
(つづく)
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