【なにわ人生道】部活で得たもの⑤相手を受け入れる
パイロットの面接で、ウケを狙ったのには、わけがあった。当時、某R社にも、同時並行で会社訪問をしていた。R社の人からは「学生の意識調査も兼ねて、大学生がどんなこと考えてるか、本音を聞きたいんだよね!」と言われた。何回か足を運び、他愛もない話で盛り上がった。相手は入社2、3年目の若手社員。関西弁丸出しで、お笑い芸人みたいなノリだった。学校や部活のことを聞かれながら、例によってプロレスネタの持論を振ってみた。「プロレスでは、試合に勝っても、お客さんを喜ばせないと負けなんです。相手のチカラを引き出し、それを受け止めたうえで、自分が勝つ。たとえて言うなら、ウルトラマンと怪獣の関係です。ウルトラマンが、最初からスペシウム光線で勝ったら、ちびっこたちは喜びませんよね。これを“受けの美学“、と言います。」そんなことを熱く語った。
「おまえ、むっちゃ、おもろいな!」R社の若手社員は、大笑いしてくれた。自分は、関西人、しかも社会人相手に「ネタで掴んだ!」という手応えを感じた。そして、「プロレスネタは、社会人にも十分通用するな。」と確信した。だがそれは、航空会社の偉い人には、まったく刺さらなかった。面接で語り終わった後の沈黙が、異様に長く感じられた。「しまった、すべった」と思った時は、もう遅かった。CAに囲まれ、世界を股にかけ、グローバルに飛び回る夢は終わった。
そして最終的に、自分はR社を選ぶことになるが、就活で学んだことがある。「自分のありのままを受け入れてくれる相手(会社)でないと、いざ入社しても、お互いに幸せになれないということだ。これは夫婦関係にも言えるかもしれない。
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