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【なにわ教育道】同伴出勤命令

そんなこんなで入学式を終え、いよいよ嫁と娘の新生活がスタートした。毎朝、1時間かけてお着替えと朝食。7時には家をでて、7時6分発の電車に乗る。ミッション系の学校は毎朝8時の礼拝で始まる。「お受験ママ」の本当の闘いは「合格後も続く」という現実を目の当たりにした。しかも、大変なのは「早起き」だけではない。入学後の1ヶ月は、親による学校への往復の付き添いが義務付けられていたのだ。嫁の1日は、朝早く起きて、娘を学校の正門まで送り届け、いったん自宅に戻り、お昼をすませてすぐにまたお迎え。というハードなものだった。娘の定期代はしょうがないとしても、学割のきかない嫁の定期代は、これまた想定外の出費であった。
「あなたも行きだけでも、送るの手伝ってよ。」
嫁からの”指令””が、連日深夜に及ぶ残業と格闘している私に下りてきた。そこに”NO”という選択肢はなかった。通学時間そのものは短いものの、2回の乗り換えが大変だった。麻布十番駅から学校までは大人の足なら約10分。だが、鳥居坂をちんたら歩く子供たちの足では、ゆうに20分近くはかかってしまう。出社前に1時間ほどののロスタイムとなる。最初の1週間は、嫁が1日2往復の学校への付き添いを行っていた。
「あなたに送ってもらえると本当に助かるわ。」
との一言で、れいれい同伴のミッションを仰せつかった。小さなセーラー服をまとった自分の娘と、手をつないで家を出る。ドラマの幸せな家庭の1シーンとして、ありそうな光景だ。(だいたい、そのあと不倫とか殺人などの事件に巻き込まれることが多いが)。まさか自分が、そんな大役を演じることになるとは思わなかった。     (つづく) 
           

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