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【なにわ教育道】マンガ事件と情報戦

嫁の母校である、某小学校の学校説明会。登壇されたのは、小学部のT部長(いわゆる校長先生)だった。T部長はもともと嫁の高等部時代の国語の先生で、数年前に小学部の部長にご栄転されていた。
「なんだ、それなら直の教え子じゃないか!
お願いすれば、入れてもらえるんじゃないの?」
私のツッコミに嫁はバツの悪そうな表情を浮べた。
「昔、授業中マンガを読んでいて、すごく怒られたことがあったの。それに卒業して20年。私のことなんか覚えてないわ💦」
嫁はかなりのマイナス志向であった。
「最近、同窓会はなかったの?」
「数年前にあったけど、その時は、お受験させようとは思わなかったので、挨拶すらしなかったわ。」
嫁はそのことを本気で悔やんでいた。要は、20年前の「マンガ事件」がトラウマで、T部長とのリレーションを構築できていなかったのだ。そんな部長先生が会場に入場してきた。ざわついていた場内に、緊張感がみなぎった。最前列に座った嫁は、地味な濃紺のスーツに身を包み、背筋をピッと伸ばし、先生といつ目があってもいいように真剣なまなざしで、話に聞き入っていた。初めて見たT部長は、ちょっと堅そうな雰囲気で、無駄に愛想を振りまくようなタイプではなく、手ごわそうな感じがした。
「面接の本番は、この先生がプレゼンの相手か!」
来るべき本番に備え、私も真剣勝負で臨んだ。T部長が強調されたのは「小学校教育における、集団の中での生活習慣、マナー」の重要性についてだった。
「そのためには、学校と家庭が協力しあって、小さいうちから『しつけ』を教え込まなければならない!」このあたりでT部長のボルテージは最高潮となった。
「なんだいいこと言ってるじゃないか。」
私は、T部長のお言葉が妙に刺さった。そして娘の教育をこの学校に託したくなった。さらに「家庭教育」の中での「食事」の重要性について力説され。食事中のマナー、会話はしつけの基本とのことだった。営業中、運転しながらコンビニのパンやおにぎりを食べていた自分には耳の痛い話であった。学校側からすれば、「自分達の求める人材を採用したい」のは当然である。だが本当に求められているのは、子供そのものではなく、「学校側の考えに共鳴できる親」ではないか。説明会を通じてそんな現実がよく見えてきた。やはり「説明会」での情報収集は大事である。営業でもアメフトでも「情報を制する者はすべてを制するのだ!」
                 (つづく)

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