【なにわ教育道】お受験は男の闘い
入試の本番まで数か月。私の週末のスケジュールは、嫁に完全に管理されていた。
「今度の土曜日、父親向け勉強会おさえたからね」
「次の日曜日は、夏休みの過ごし方セミナーよ」
いずれも、子供ではなく、親を対象としたイベントであった。「こぐま会」では、この年から父親向けの「受験対策セミナー」という新たなプログラムが用意されていた。案内された教室は、熱心なお父さんたちの熱気であふれていた。最近の「お受験・熱」は、父親にも確実に広がっている現実を目の当たりにした。
「みんな熱心だなあ~」と思いながら、他のお父さんたちの「人間ウオッチング」をしてみた。気のせいか、やわな感じのお父さんが多かった。アメフトを引退して10年。「こんなやつらには負けられない!」久々に熱い闘志が湧いてきた。そして夫婦で参加した「東洋英和の学校説明会」。嫁も相当気合が入っていた。朝早くから並び、会場の最前列・正面の位置を陣取った。英和時代の先輩ママ(赤い翼の現役スチュワーデス)と共に、真剣な表情で臨んでいた。学生時代、こんな表情で、講義を聞いたことはなかっただろうと思いながら。各セミナーや説明会でのポイントは、「夏休みを有効に使いましょう」「夫婦間で教育方針の摺り合わせをしましょう。」というのが、話の大筋だった。要は試験本番
までにスケジュールと戦略を立て、やるべきことを明確にし、実行できるかが勝負の分かれ目となる。これはアメフトとも全く同じだと思った。
「子供を理想の学校に入れる」ということは、「自分の商品の特性(子供の性格、短所・長所)をよく知った上で、親が顧客(学校側)に子供を売り込む。」”究極の営業活動”である。そう思えた瞬間、私は、R社で培った営業力で、自分の娘をお嬢様学校に売り込み、タッチダウンを決めたい!という衝動に駆られた。それは嫁や娘のためでもあるが、「営業マン」としての男のプライドのためでもあった。
(つづく)
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