【なにわ教育道】1通のメール
大阪から東京に戻った私は、膨大な量の業務に追われていた。連日連夜、深夜・休日に及ぶ残業が続いた。そんな中、会社のPCに1通のメールが舞い込んできた。「お父さんのための子育て講座」たしかそんな名称の社内セミナーの案内だった。20時~2時間ほど。隔週で合計6回。リクルートの他部署が実施する講座であった。
「嫁のポイントを稼ぐために、受けてみるか」
そんなことを考え、かるい気持ちで「参加」で返信した。 エントリーをしたことも忘れていたほどの薄い意識の中、直前の「リマインダーメール」で記憶が甦った。
「めんどくさいから、やっぱりやめようかな。」
心の葛藤はあったものの、当日は仕事を早く切り上げ、とりあえず会場に向かった。そこには10名ほどのパパ達が集結していた。みんな一様に不安そうだった。 「仕事が忙しく、子供の相手は全く出来てません。」自己紹介では、みなさん口を揃えて言い訳をしていた。だがこの講座に足を運ぶだけまだ、意識の高いパパたちだったと思う。ナビゲート役は、幼児教育をを経営する女の先生だった。授業では、お絵かきや工作をさせられ、子供の絵本を読み聞かされたり、無理やり?童心に帰らされた。
「大の大人が会社帰りに何でこんなことやらされるの?」ぼやく声も聞こえたが、けっこうみんな楽しんでいた。気がつけば、私自身も全6回の講座を全て受講していた。 「こどもにとっての親。家庭環境がいかに大事か。」という気付きとともに、ふだんの仕事漬けの日常からは見えない何かを得ることが出来た。 「子育ては妻との協力関係も非常に大事」ということも教わった。耳が痛い話ばかりであった。
(つづく)
この記事へのコメントはありません。