【なにわ営業道】早すぎた働き方改革
「仕事だけでなく、プライベートも充実させなきゃ」 かれこれ15年ほど前。私は、東京でも、地道な啓もう 活動を続けた。今で言う「ワークライフバランス」の 先駆けである。だが彼女たちの「深夜残業+飲み」の 方程式の壁は厚かった。マスオさんとアナゴ君には、 会社帰りに一杯やっても、帰りを待っている「家庭」 がある。飲みすぎて帰ると、玄関前でサザエさんが 鬼のシルエットで立っている。オヤジたちの飲みには、 一定の歯止めが利くのである。 だが、彼女たちは酔っ払って帰っても、真っ暗な部屋 に自分で灯りをつけなければならない。タクシーで 帰っても誰にも文句は言われない。玄関先で誰かに 怒られることもない。地方から出てきて、東京で男と 同じフィールドで、たった1人で闘っている。仕事の ストレスと寂しさをまぎらわすため、酒に溺れるのも よくわかる。「キャリアアップ」とか「女性の自立」 などと世間から煽られ、ますます仕事にのめりこむ。 気がつけば、普通のオヤジ以上の「オヤジ化」が進む。
「オヤジ化」…自分の仕事にプライドをもって生きるオヤジほど、人の話は聞かなくなる。スープに頑固 一徹なラーメン屋のオヤジに「もっと笑顔で接客したほうがいいですよ!」というのはナンセンスである。 聖子ちゃんに「子育てちゃんとやれよ!」というのも 無意味であろう。それと同じで、仕事で「オヤジ化」した女性メンバーに、「仕事もプライベートも両立しなきゃ!」と声をかけるのは無意味であることに薄々気付いてきた。自分のマネジメント能力の限界を感じた。
(つづく)
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