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【なにわ人生道】「思い出」をつくる仕事

九州営業時代、鹿児島知覧の武家屋敷での話です。ここには薩摩藩の武家屋敷が7邸あり、美しい日本庭園が当時のまま残されています。特攻隊の知覧の記念館の帰り、立ち寄ったのでした。最後の7邸目を見終わり、立ち去ろうとした時、後ろからおばちゃんに、声をかけられました。「縁側に座って、このアングルから、あの山を見てごらんない!庭と山がつながって見えるでしょ!このお庭は、京都の比叡山の風景を元に、庭師につくらせたのよ。」と教えてくれました。「せっかく、遠くから来ても、教えてあげないと、みんな通り過ぎてしまうのよね。」おばちゃんは静かに語りだしました。彼女の、「利害損得」ではなく、心の底から、「ここを訪れた人に、思い出を残して帰ってほしい。」という熱い思いが、ひしひしと伝わってきました。おばちゃんは、もともとは奈良の出身で、こちらに嫁にきて、今はボランティアで、このお屋敷の案内をしてるそうです。
「みんなに声をかけてるわけじゃないんだけど、せめて入場料500円ぐらいの価値は感じてもらわないとね。おせっかいかもしれないけど。」気が付いたら、あっという間に、1時間。心温まるホスピタリティに、入場料以上の価値を感じ、ここを後にしたのでした。おばちゃん、素敵な思い出をありがとう!

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